なぜアフリカの国々の国境には直線が多いのか
どうも、A.Kです!
今日は国際法の話をしようかと思います。
◆はじめに~この話をするきっかけ~
なぜ、アフリカの国境の話をしようと思ったか。
それは、先日の塾でのバイトでのことでした。
2日連続バイト出てきてますが笑
生徒にこんなことを聞かれました。
「ねぇ先生、国境ってさ、普通ぐにゃぐにゃじゃん?なのにすごいまっすぐなとこもあるのはなんなの?バカなの?」
バカとはなんだバカとは!
どうやったら国境を直線で引く人々がバカになるんだ!おかしいだろ!
という説教はほどほどに、その時はザーッと説明してあげました。
まぁこんなことがあったので、
小学生なのにそこ気になるんだ!僕の小学生時代なんて…
とか思いながら、知恵袋や他のブログなんかでもよく出てきているテーマだし、
僕も僕なりのものを書いてみることにしました。
(『ヨーロッパ及びアフリカの地図』Google Map より)
ぱって見てもやっぱり直線多いですよね。
◆直線にしたのは誰か
まず、そもそも直線で引こうと思ったのは誰なんでしょうね、という話です。
普通に考えたら
「アフリカの人々じゃないの?」
と思うかもしれませんが、実はこれは、
【ヨーロッパ諸国の植民地主義】
と深い関連があります。
19世紀のヨーロッパでは、産業革命が成功し、市場をどんどん広げようとしていました。
そこでヨーロッパの南にあるアフリカに目を付け、そこを植民地化することで自国の市場を大きくし、利益を得ていたわけです。
しかし、ヨーロッパと言ってもいろんな国があります。
アフリカ植民地競争に参加した国は
イギリス、フランス、ポルトガル、ドイツ、スペイン、イタリア、ベルギー
です。
これらの国々が、アフリカの植民地を少しでも増やそうと争ったわけです。
そして、19世紀後半頃、ベルギー国王レオポルド2世が、コンゴを私有しようとしたことが、ベルギー国内外で大きな論争になり、
また、ニジェール川流域に置いてフランスとイギリスが対立を深めてしまったので、
その混乱を収束させねばならないということで、
ドイツの首相ビスマルクがこれらの問題を解決するための会議を開きました。
「ベルリン会議」と言います。
この会議で植民地の境界線が決められたのですが、その時に、
「じゃ、こっからここまでおれの植民地ってことで」
みたいなテンションで、アフリカの人々の民族分布や歴史などは度外視して決めた結果、アフリカの植民地は直線的に区切られてしまったのです。
つまり、直線を引いたのはアフリカの人ではなく、ヨーロッパの人だったんですね。
◆なぜ現在までそれが続いているのか
でも、不思議ですよね。
アフリカの国々は第2次世界大戦後、きちんと独立を果たし、立派な国家を建設しています。
ならば、その時に、
「ヨーロッパ人が決めた国境じゃだめだ!おれらはおれらで国境を引くんだ!」
ってなってもいい気がします。
なんせヨーロッパ人のせいで同じ民族が違う植民地に引き裂かれたりしたわけですから。
しかし、そうはなりませんでした。
国際法では、「ウティ・ポシデティス原則(Uti Possidetis Juris)」という原則があります。
これは、簡単に言うと
【現状維持の原則】
です。
つまり、アフリカの諸国が独立の際に、民族統合などを目指して新たな国境を主張し始めてしまうと、せっかく独立しても他国との間で国境紛争が多発してしまうため、
とりあえず国境は植民地時代に引かれてた境界線で良いということにしておこう、ということです。
どこの条約で認められているというわけではありませんが、ICJ(国際司法裁判所)では、これを一般原則として認めています(ブルキナファソ=マリ国境紛争事件(1986)、リビア=チャド国境紛争事件(2005))。
まぁ、あんまり喜ばしいわけではないけど、紛争を未然に防ごうと思ったらこれが一番ましかな、ということなのでしょう。
◆終わりに
そうは言っても、現実には国境紛争はたくさん起きていますし、国内においてもやっぱり民族対立が激化しちゃって内戦が起きたりしていますよね。
スーダンはアラブ系政府と非アラブ系住民の間で内戦が起き、結局この間、2011年に南スーダンが独立しましたね。
他にも、例えばルワンダでは、1994年にフツ族の過激派が同じルワンダ国民であるツチ族の人々を虐殺するという大事件がありました。
これは「ホテル・ルワンダ」という映画にもなっています。
- ホテル・ルワンダ プレミアム・エディション [DVD]
- メーカー:ジェネオン エンタテインメント
- 登録日:2006-08-25
- カテゴリー:DVD
なかなか難しい問題ですね。
今アフリカの諸民族に「争うのはやめようよ!」なんて言ったって、そんなん無理な相談だと言われておしまいですし、かと言って過去を変えるわけにもいかないし。
嗚呼、悩ましいです笑
◆後記
一応、他のブログなんかを拝見させていただいて、ウティ・ポシデティスに言及しているのはなさそうだったので、そこで独自性は出たかなと思っています笑
最後に、今回の参考文献を載せておきます。
・ブログ
「各ブロガーいずくんぞ種あらんや!」(http://plaza.rakuten.co.jp/hidetaka1220/diary/200903200000/)
「だすだすのぐんのび 中学社会 テストに出る時事問題」(http://blogs.yahoo.co.jp/fdm34871/58727099.html)
・HP
外務省HP「アフリカが直面する課題とわが国の対アフリカ外交」(http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/enzetsu/12/sei_0630.html)
「世界史の窓」(http://www.y-history.net/appendix/wh1402-001.html)
・書籍
中谷和弘他『国際法』(初版)(有斐閣アルマ, 2007)
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